指標名は見えて、パラメータは見えない|選択型システムトレードの開示範囲

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チャートに自分でインジケーターを出すとき、私たちは期間の数字まで指定します。移動平均なら何本、RSIなら何期間。ところが、既成のストラテジーを選んで動かす「選択型」のシステムトレードでは、この数字が見えないことがあります。
どこまで読めて、どこから先が見えないのか。フジトミ証券のシストレセレクト365の記載で、開示の線を確かめます。2026年9月14日時点の公開情報です。
売買判断はテクニカル指標で機械的に行われます
重要事項にはこう書かれています。「各ストラテジーの売買判断基準はそれぞれのストラテジー画面に表示のテクニカル指標により機械的に判断されますが、利用しているテクニカル指標のパラメータ等の詳細は公表しておりません」。
一文の前半と後半で、開示の線が引かれています。前半は指標によって機械的に判断するという仕組みの説明。後半はパラメータは非公表という限定です。
指標の名前自体は画面で確認できます。同社のストラテジー紹介ページは「キャラクターの名前やストラテジーの特徴、使用しているテクニカル指標などが確認できます」と案内しています。
そもそも「選択型」という分類がある
フジトミ証券は自動売買を3つに分けて説明しています。「自動売買は大きく「開発型」「リピート型」「選択型」に分類され、それぞれに特長や向いている人が異なります」。
開発型は自分で売買ルールを作ってプログラムとして設定するタイプで、同社は必要なスキルの例としてPython、SQLを挙げています。今回見ているシストレセレクト365は、既成のストラテジーから選ぶ選択型です。開発型なら自分でパラメータを決めますが、選択型では決まったものを選ぶ。開示の線が違うのは、この分類の違いから来ています。
対象になる通貨ペアも絞られています。「シストレセレクト365では流動性が多い4通貨ペアを取り扱っています」として、米ドル/円(USD/JPY)、ユーロ/円(EUR/JPY)、英ポンド/円(GBP/JPY)、豪ドル/円(AUD/JPY)の4つ。英ポンド/円については「非常にボラティリティが高く」、「価格変動が大きい分、高度なリスク管理が求められる通貨ペア」と同社が明記しています。
手で引くときと、選ぶときで「見えるもの」が入れ替わる
自分でチャートに指標を出すとき、私たちは過程を握っています。移動平均を何本にするか、RSIを何期間にするか。設定した数字が分かっているので、シグナルが出たあとに「なぜここで出たのか」をチャート上で再現できます。逆に、その設定が将来も通用するかは自分で検証するしかありません。
選択型はこれが裏返ります。過程にあたるパラメータは非公表で、代わりに結果——過去のパフォーマンス——が数字として並びます。シグナルの理由は追えないが、その設定で過去どう動いたかは示されている、という状態です。
だから、両者は代替関係ではありません。手で引く側は「なぜ」を確かめられるが実績の裏づけは自分持ち。選ぶ側は実績が示されるが「なぜ」は追えない。ATRで値幅を測るようなやり方と併用するなら、この非対称を意識して役割を分けることになります。
名前が読めると、何が判断できるのか
パラメータが分からなくても、指標名が分かれば性格の見当はつきます。トレンド系の指標を使っているのか、オシレーター系なのか。前者なら方向が出ている相場で噛み合いやすく、後者なら行き来する相場に向く、という当たりです。
ただし、そこまでしか分かりません。同じ指標名でも期間の設定が違えば、シグナルの出方はまったく別物になります。名前で性格の方向は読めるが、細かい挙動は読めない、という線引きです。
採用の前に2種類のテストを通っています
ストラテジーがどう選ばれているかについても記載があります。「当社が提供しているストラテジーは、全て当社システムトレード事業部及び分析者による」インサンプルテストとアウトオブサンプルテスト(原文では注釈番号が付いています)による「バックテストの結果を基に採用しています」。
インサンプルは設計に使った期間での検証、アウトオブサンプルは使っていない期間での検証を指すのが一般的です。両方を通していると書かれている点は、過去データに合わせすぎた設計をふるいにかける工程が入っている、という説明として読めます。
ただし、通っていることと将来の成績は別です。次に見るのはそこです。
成績表示は「サイン時点の価格」で計算されています
ここが実務上いちばん効く但し書きです。「各ストラテジーの運用成績は、売買サイン生成時の価格及び時間をもとに算出したものであり、お客様が自動売買管理サービスを利用して注文が約定した際の価格や時間と異なる場合があります」。
そのため「同一のストラテジーでもストラテジーの運用成績とお客様の損益結果には差が生じる場合があります」と続きます。加えて「ストラテジーの運用成績には、スワップポイントは加味されておりません」。
さらに前提として、「ランキング画面及びストラテジー詳細画面の各ストラテジーのパフォーマンスは、あくまでも過去の試算結果であり、将来も同様の結果になることを約束するものではありません。そのため相場の状況によっては、想定以上の損失となる場合があります」と明記されています。
稼働まわりで押さえる2点
複数のストラテジーを選んで稼働できる一方、「同じ銘柄の異なるストラテジーを稼働させる場合、両建てになることがあります」と明記されています。ロジックを分けても対象の通貨ペアが重なれば、売りと買いを同時に持つ形になりうるということです。
もう1点は停止条件です。注文がエラーになった場合は「稼働していたストラテジーは稼働停止となり、再発注は行われません」。また、ストラテジーが保有した建玉に対して「手動、ロスカットなど当該ストラテジーの売買サイン以外による決済注文が発注された場合、当該ストラテジーは稼働停止となります」。チャートを見ていて我慢できずに手を出すと、意図せず停止させてしまいます。
まとめ|読める範囲を先に確認する
選択型のシステムトレードで確認できるのは、指標の名前、公開されている成績とその但し書き、そして止まる条件。確認できないのは、パラメータの詳細です。
この線を先に把握しておくと、思っていた動きと違う、という場面で原因の切り分けが早くなります。チャートを自分で引く人ほど、見えない部分がどこかをはっきりさせておく価値があります。
提供元はフジトミ証券株式会社(関東財務局長(金商)第1614号)で、対象は東京金融取引所に上場するくりっく365です。店頭FXとは取引の枠組みが違うので、比べるときは土俵を揃えて見る必要があります。
FXは元本が保証される取引ではありません。相場の変動により、預けた証拠金を上回る損失が生じるおそれもあります。
よくある質問(FAQ)
使っているテクニカル指標は分かりますか?
名前までは分かります。売買判断基準はストラテジー画面に表示のテクニカル指標により機械的に判断されるとされ、ストラテジー紹介ページでキャラクターの名前や特徴、使用しているテクニカル指標などが確認できると案内されています。
パラメータは公開されていますか?
公開されていません。利用しているテクニカル指標のパラメータ等の詳細は公表していないと明記されています。
どんな検証を経て採用されていますか?
同社のシステムトレード事業部および分析者によるインサンプルテストとアウトオブサンプルテストのバックテスト結果を基に採用していると記載されています。
表示された成績はそのまま自分の損益になりますか?
なりません。運用成績は売買サイン生成時の価格および時間をもとに算出したもので、実際の約定価格や時間と異なる場合があるとされ、スワップポイントは加味されていないと明記されています。
複数のストラテジーを同時に動かすとどうなりますか?
同じ銘柄の異なるストラテジーを稼働させる場合、両建てになることがあると明記されています。
一次情報:フジトミ証券「シストレセレクト365」および同「シストレセレクト365のご紹介」、同「自動売買の種類」、同「取扱い通貨ペア」(売買判断基準とパラメータ非公表、ストラテジー紹介ページの案内、インサンプル/アウトオブサンプルテスト、運用成績の算出方法とスワップ非加味、過去の試算結果である旨、複数稼働時の両建て、注文エラー時と売買サイン以外の決済による稼働停止/2026年9月14日確認)